「ん?」 そう呟いて空を見上げると、空から降り注ぐ水滴が顔の上にも落ちる。 わっ、雨だ! さっきまで、あんなに晴れてたのに。 しかも、雨の勢いは増していく一方で。 折り畳み傘をスクールバックの中に常備していたから、学校までの道のりは雨をしのげる。 だけど、雨ってなんだか憂鬱になるなぁ……。 傘を開き、再び足を動かし始める。 今日の授業は、確か古文と、数学と、日本史と…… なんて、歩きながら能天気にもそんなことを考えていた、その時だった。 「大原!」 雨の中、通る声が聞こえたのは。