なつの色、きみの声。



大宮くんは来ないんじゃないかなと思っていたけれど、玄関で数分待つと中山くんと一緒に現れた。

不機嫌そうな顔で、多分強引に連れて来られたのだろう。

中山くんと美衣は先に行ってしまって、わたしは大宮くんとゆっくり後を追いかける。


「大宮くんと中山くんってどう知り合ったの?」
「何、急に」
「いや、全然性格が違うから気になって」


中山くんは周囲に人が集まってくるタイプだと思うけれど、わたしの知っている限り大宮くんはそれと真逆だと思う。

泊まりの用事にまでついてくるほどだから、大宮くんは適当に言うけれど、かなり仲は良さそう。


「知らない。気付いたら近くにいた」
「え、何かきっかけはあったでしょ」
「……ない」
「今の間! おかしいよ、心当たりがあるんだね」


どうにかして聞き出そうと躍起になるけれど、大宮くんは教えてくれないまま、堤防に着く。

美衣と中山くんは砂浜に降りていて、熱い熱いと騒ぎながら波打ち際に向かって走っていた。


「馬鹿だな」


そんな美衣たちを見下ろしながら、大宮くんも何だか楽しそう。

ちょうど街路樹の影になっていて、ここを動く気のないらしい大宮くんの腕を掴む。


「は? おい!」
「行くよ!」


砂浜へと降りて、美衣たちの方へと走る。

サンダルの隙間に流れ込んでくる熱された砂。

大宮くんは舌打ちを落としたかと思うと、逆にわたしの腕を掴んでぐんと速く走り出す。


「ちょっと! 速いよ!」
「相模が始めたんだろ」


大宮くんは笑っていた。

珍しく、声を上げて笑う姿を思わずじっと見つめていると、ばちっと両目がかち合う。

一瞬、大宮くんの目が細められて、けれど何も言わずに、間もなく波打ち際にたどり着いた。