「つまんねぇな」



ケッという表情で見送り、歩はスマホを取り出して耳に当てた。



「……あ、真浩? 突然だけど、酒持ってこい。 ……は? 諒真先輩に全部飲まれただ? じゃあ新しいの買ってこい。……未成年だから無理とかそんなの知るか」



何という無茶な頼みだ……


未成年に酒を買って来いだなんて…



「……あぁ、分かったよ。溜まり場に行ったら飲む。それまでに買っとけ、じゃあな」



歩は少し不満げに通話を終えると、腕時計を見て私の方を向いた。



「おいお前、もうすぐ呼び出しの時間だろ」


「え……あ、そっか…」



確かに、もうそろそろ昼休みだ。


でも、何で歩が昼に呼び出しだって知ってるんだろう?



「俺の子分が、お前が昼に呼び出されたって連絡してきてな。まぁ、やられんなよ」


「……決まってるじゃん」


「だろうな」



歩は少し笑って、また眠ってしまった。


また寝るんだ……。


ハハハ、と苦笑いして、私は体育館裏へと向かった。