突然の低い声に、髪を掴んでいる男はハッとして周りを見渡す。


声の主は、赤い髪の歩だった。



「だ、誰だお前!!」



その問には答えず、歩は立ち上がり、笑いながら歩いてくる。



「お前らさ……そいつに睨まれても怖くないとか言ってたけどよ」



私とリーダー格の男の間で立ち止まり、笑みを消して伏せていた目を上げた。



「俺ならどう?」



その目は狂気が宿っているかと思うほど……怖かった。


殺気にまみれ、人ひとりを睨み殺せそう。


私でも冷や汗が出るほどの怖さ……。



「ひっ…!!」



男たちは腰を抜かしながら、我先にと教室から逃げていった。