運転している蓮央も、泣いている。



「なんで、ふたりともないてるの?」



きょとんとしている葵を、優しく抱きしめた。



「ごめんね、葵……パパもお母さんも、強くなるから…………」



かつて『最強』と呼ばれた私と蓮央。


でも、それは違う。


きっと、最強なのは、葵。



そんな葵が、私の胸に顔をうずめてギュッと服を掴んだ。



「……ぼくね、すこしこわかったんだ。パパとお母さんが、ぼくのこといらないっておもってるんじゃないかなって」



え…………?



「そんなわけ……!!」


「でもね」



葵は、屈託のない笑顔で私に話しかける。



「パパが、『こい、あおい』っていってくれて、うれしかった。お母さんが、こうやってだきしめてくれて、うれしい。ありがとう、パパ、お母さん!」



もうだめ……そんなこと言われたら、涙が止まんないじゃん…………!!



「葵ぃぃぃ〜〜!!!」


「わぁっ!?お母さん、くるしい!」


「葵だいすきぃぃぃ〜〜!!」


「ぼくもすきー!」