「あおは、なんでかみのけがあおいの?」
『あお』というのは、葵が自分をさすときに使う言葉。
そろそろ、聞かれるかとは思ってた。
「ようちえんのおともだちが、『それそめてるんだろ』って、いってた。そめるってなに?わるいこと?」
不安げに揺れる、葵の瞳。
それは、出会った時の咲誇の瞳そっくりだった。
澄んでいるのに、どこか悲しそうな目。
俺は葵の前に屈み込み、髪を撫でながら微笑んだ。
「葵、この髪はな?神様がくれたプレゼントなんだぞ?」
「ぷれぜんと?」
葵が首を傾げている。
「青は、友達には無い色だろ?神様は、葵がどこにいてもすぐ見つけられるように、泣かないように、青くしたんだ」
「そうなの……?」
「あぁ。だから、パパはこの髪が大事だし、大好きだぞ?」
葵は目を丸くして驚く。
「そうなんだ……じゃあ、パパも、かみさまからぷれぜんとをもらったんだね!」
「そうだな。葵と同じ、青い髪だ。友達に何か言われても、気にするな。葵は神様の特別なんだから」
「……うん!」
屈託の無い笑みを浮かべ、俺と葵はまた歩き出す。