後ずさりしながら、沈黙を作るまいと言葉を発する。



「…なんで、ここに……」


「私の部下から聞いた。私の娘らしき女が、ここのマンションに入ったと」


「チッ……」



見られていたなんて、気付かなかった。


いつもなら気配を感じたら、うまくまくのに。



「噂によれば、ここはヤクザが建てたマンションなんだろう?こんなところ早く出るぞ。別の場所を探してやる」



父親は、私の腕を掴んで乱暴に引っ張っていく。


どこに連れていく気なの!?



「っ…離せよくそじじぃっ!!」



暴れ回るけれど、女の私の力は、大の大人には通用しないわけで。



「黙れ」



私を冷ややかな目で睨みながら、ドアに手をかけようとしたとき。