声の主は、もちろんあの人なわけで……。
「俺の女に何してんの?」
ものすごい形相なのが、キャップをかぶっていても分かる。
「……咲ちゃんの彼氏ですか?」
「そうだ。お前は誰だ?」
私をかばうように前に立ち、黒髪青年を睨みつける蓮央。
黒髪青年は、蓮央を見ず、まっすぐ私だけを見て口を開いた。
「……僕は、杉本新(スギモト シン)。5年ぶりだね、咲ちゃん」
「杉本…新……?
…………もしかして、あの新?」
「うん!やっとイギリスから帰ってこれたんだ!!」
ニコッと笑う黒髪の彼……杉本新は、私の幼なじみ。
小学6年生のときにイギリスに引っ越して今年戻ってきたらしい。
「久しぶり、新……。変わってて分からなかった」
「あはは、背も伸びたしね!っていっても、まだ170くらいだけど」
幼なじみと再会の言葉を交わしていると、かなり不機嫌オーラをかもし出した蓮央が私の手を引いた。
「……行くぞ、咲誇」
「え、うん……。じゃあね、新」
「うん、またね!」
『またね』
その言葉が気になったけれど、聞き返す暇もなく蓮央に店から引っ張りだされた。


