「……おい、俺の女に何してんだよ」
グイッと肩を引かれ、オヤジの手が私から離れた。
は? 誰?
見上げると、綺麗な青い髪をした男が立っていた。
身長が高くて、顔は逆光で見えない。
ただ分かるのは、目つきが最高に悪いということだけ。
オヤジの、あたしの肩を掴む手の力が緩んだ。
「き、君の彼女さん……?」
「あぁそうだよ。
だから女なら他をあたれ、オッサン」
そいつに睨まれたオヤジは、逃げるように
走っていった。
あっ!!
せっかくのホテル代が!!
「ちょ、待って!! こいつ彼氏じゃない!!」
「行くぞ」
「はい!?」
オヤジを呼び止めようとすると、その男に腕を引かれて歩かされた。
何なの、こいつ!!
ていうか離せよ!!
「ねぇ……アンタ誰? いや、答えなくていいからとりあえず手を離してよ」
「来い」
目も合わせずただ歩く男にイラついた。
せっかく寝るところを確保出来そうだったのに。
こいつのせいでぶち壊しだ。
むすっとしながらも、引っ張られるままについて行った。