……こんなことをしている場合じゃない。 あいつが帰ってくる前に、ここを出ないと。 クローゼットを開けて、下着や服、部屋着をそこらへんのバッグに詰め込む。 特攻服とかは……置いていこう。 大きな二つのバッグにパンパンに詰め、肩からかけて玄関へと急ぐ。 行かないと。 靴を履いている私の背後から、物音がした。 「っ……!?」 バッと振り返ると、あいつが立っていた…… 銀縁メガネに、細い目。 その顔にはヒゲなんて一切無く、一見紳士にみえるそいつは…… 「ここで何してるんだ?」 私の父親。