急に名前を呼ばれたことに戸惑いながらも、仁は返事をしてくれた。
「私が【桜蘭】元姫でも、いいの……?」
「え? あー……」
仁は目を丸くした後、自分のビールを一口飲んで口を開いた。
「俺、姫さんに1回命救われてんスよ……」
えっ?と、仁を見上げる。
あったっけ、そんなこと。
仁と会った記憶なんて無いんだけど……
「こないだ路地裏で、俺、ボコられてて……。その時にそいつらを殴ってくれたのが、姫さんだったんスよ」
「路地裏…………あっ!?」
思い出した。
ラブホ街に行く時の、あの男……。
「あれ仁だったの?」
「はい!! ボコられすぎてて原型なかったスけどね!!」
確かに、仁の顔には所々うっすらと痣がある。
「あの時思ったんです。この人が仲間だったらいいのにって。そうしたら、このチームをもっと良くしてくれると思ったから」
まさか本当になるとは思いませんでしたけどね、と仁は笑った。


