恋猫シンドローム



ー鈴side


『はぁ………』


私は、結局保健室前で、猫になってしまった。これじゃあ、授業には出れない。そう判断して、下校時間まで中庭で隠れていた。


必死に鞄を引っ張って、ここまで来たけど……



『いつ、もとに戻るんだろう……』


あーあ、と夕空を見上げていると、茂みが揺れた。



『やぁー!!鈴ーっ!!』

「わぁぁ!!?」


突然、茂みから飛び出してきた何かに、胸がドクンッと脈打つ。それと、同時に……


『ううっ』


あのゾワゾワ感と共に、私の体は白猫から人へと姿を変えた。



「あ、あぁ……やっと、戻った…」


私は両手を見つめて、ホッとする。傍には、ブラックがいた。私の手にすり寄ってくる。


『作戦成功だね』

「ブラック、まさか、私を元に戻す為に……?」


「うん」とまるで人のように頷くブラックに、私は笑った。



「ありがとう、ブラック」


こんな風に、私を思ってくれるブラックは、私にとって友達…なんだろうな。



そう自覚すると、ブラックがとてもかけがえのない存在であるのだと分かった。


『もちろん、鈴の為なら、なんでもやるさ』

「あはは、大袈裟だよ」



私は地面に座り込んだまま、ブラックの体を持ち上げ、視線を合わせた。



『大袈裟じゃないよ、鈴。僕は鈴が大好きだからね』

「ブラック……」


誰かに大切に思われる事は、こんなにも心が温かくなるんだ。こんなにも……