「………ごめん」
「え……?」
黙り込んでいた私に、敦賀君は小さく頭を下げた。私が首を傾げると、敦賀君は私から視線を外し、机を見つめた。
敦賀君、何だか机より、もっと遠い奈落を見つめてるみたい……。何を考えてるんだろう……
「俺のせいで、藤森さんを傷つけた」
「あ…………」
困ったように、それでいて寂しそうに笑う敦賀君のぎこちない笑顔の理由が少しだけわかった。
優れたモノをもった人もまた………一人なんだ。綺麗だから、遠巻きに人が見つめる。時には、嫉妬も…
敦賀君が望んでなくても、自分だけを望んでくれない周りの人たちは争いを始めるんだ。
「そんな、他人のやった事にまで心を傷めて……」
「え……?」
敦賀君は、顔を上げ、私を見つめた。
バカみたい、私なんて、蔑む人を心の中で責めるだけなのに。敦賀君は、優しすぎる。
「敦賀君は何もしてない、周りが勝手に騒いでるだけ。それを責任に感じる事はないと…思う」
「……………………………」
私の言葉に、敦賀君は言葉を失っているように思えた。
あれ、なんか偉そうに言っちゃったような……
「思います」
「ハハッ、何で敬語に言い直すの?そのままでいいのに」
プッと笑う敦賀君に、私は照れ臭くなり、視線を反らした。教科書で、敦賀君から顔が見えないように隠す。


