最強甘々計画



「ごめんなさい。そこまで塩河さんに愛されてるのに、自分に自信を持ててなくて」


 私は手の甲で、顔に張り付いていた涙の跡を拭った。


「謝らなくていいんだよ。そういう俺だって、ままれちゃんが付き合ってきた男を一人勝手に想像しては、怒り狂いそうになってたこともある。だけど今は違う。だって俺は、目の前のままれちゃんが好きだから、俺のことが好きだっていう、今のままれちゃんが大好きだから。俺は目の前しか見えてないんだ」


 塩河さんはそう言ってから、私の額にキスを落とす。


 誰だって恋人の昔の恋愛について、いい思いはしない。しかし当時はお互い巡り合っていなかったのだから、しょうがないのだ。私を知らなかった頃の相手にヤキモチを妬くのは、今の相手を軽視しているのに等しいだろう。


「それに俺には、ままれちゃんは俺だけを見てくれているという自信がある。だって、ままれちゃんはもう――」


 そこで塩河さんがおもむろに、私の穿いてるパジャマのズボンに、手を忍ばせてくる。


「俺なしじゃ、無理でしょ?」


 塩河さんが顔色を変えずに、私を見つめながら、口では言えないようなことをし始めた。


「はい……」


 私は目を閉じ、体の下の方に集まる、塩河さんからの愛を感じ続ける。


「ままれちゃんのことは今しか見えないくらい愛してたつもりだったんだけど、足りなかったかな。目の前のことしか気にも留めないくらい、もっと愛してあげるからね」


 塩河さんが私の本能を揺さぶりながら、耳元で囁いてくる。塩河さんの巧みな愛し方を前に、ありもしない幻影にとらわれるのは、愚かだったと気づく。