「大神さーん?お客さんですよー」
私は玄関で大神さんを呼ぶ。
すると、
「男ー?女ー?」
と、聞こえてきた。
そのお客さんはちょっと太ったおじさんだったので、
「男性の方でーす」
と、伝えた。
「あー、葉月ちゃん。お腹が痛くなっちゃったから、帰ってもらってー」
大神さんは棒読みでそう言った。
「あ、えーと、すいませんでした!」
私はそう言って逃げるように扉を閉めた。
「ふぅ…。まったく、大神さんはー!」
ここで働き出してもう1週間が経ったがお客さんが来るたびに男か女かを聞いて男だったら追い返す日々だ。
「助手ってこんな事してるのかなぁ」
少し考えてみたが、やめた。今は取り敢えずお金だ。