7月の最終日。



「「ありがとうございました!」」


大きな体育館に響く 野太い男達の大声。


そこに私の声も加わった。



何故なら、私ー福井 唯(ふくい ゆい)ーが所属しているのは 男子バスケ部。
詳しく言えば『男子バスケ部のマネージャーの1人』だ。



ちなみに今日が本当に夏休み最後の部活日となる。


だからこそ最後に部員全員で感謝の気持ちを込め 体育館を大掃除して 挨拶をしたというわけ。


あとは2学期までなく 各自自主錬となるはず!



もうこの蒸し暑い体育館に来なくてもいいと思うと 嬉しい反面少し寂しい。



なんだか感傷的な気分になっていると

「なーに シケった面してんだよ」

急に後ろから頭を勢いよくはたかれた。


前のめりになる。

が、こらえて

「何すんのよ!」

ほぼ脊髄反射で振り向いて叫んだ。


そして瞬間に後悔。


こんなことをするのなんて 1人しかいないのに 頭からポロリと抜け落ちていた。


「陽...」

小さく ソイツの名前を呟いた。