あれから一通りお店を廻って、最後に辿り着いたのはゲームセンターだった。



そして最初に目に入ったのは



大きいぬいぐるみが数個入っている定番のユーフォーキャッチャーだった。



その中に入っている、ピンクのテディベアに一目惚れした。



「…ねぇ、葵」


「ん?」


「キスしてほしい?」


「…は?」



ここは、あの手を使うしかない。



「してくれんの?」


「い、いよ。だ、だから、あれ取って?」



あたしがユーフォーキャッチャーの中にあるピンクのテディベアを指差すと



葵の表情が曇った。



「またかよ」



そして、そう葵は呟いた。



確か先月も同じ手を使った。



先月は何かのマグカップが欲しくて、あたしからのキスと交換条件で取って貰った。



いつもそうだった。



葵は何か交換条件が無いと、あたしの言うことを聞いてくれない事が多い。



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