後悔しても遅いことは分かってるのに、親に頼らなかったことを心の底から後悔した。



だけど、お父さんはそんな私の気持ちを読み取ってくれたのか……少し命令口調な感じで言った。



「これからは相談しろ」



“これからは”って部分がこの先からは頼れってことだから、すごく心の支えになった。

だから私の気持ちは軽くなって、これからは頼ろうって決意できた。



「ところで葵くんは?」



お父さんは突然葵に話を振った。


突然話を振られた葵は驚いたのか、お茶をこぼしそうになった。



「進路……ですか?」

「あぁ」

「働きます。大学は、行く理由が今は見つからないので」

「もう就職先は決まったのか?」

「はい。兄貴の働いてるところの社長さんに紹介してもらったところがあって。そこに決まりました」



葵は言葉に詰まることなく、私の知らなかったことをスラスラと話した。



働く場所をもう決めていたなんて知らなかった。

こんなにもスラスラと自分の進路について話せるなんて知らなかった。



私は何も知らなかった。

葵の進路について。



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