葵は16歳で私を産んだお母さんのことを『すげぇ人だな』って言った。



お父さんのことも同じように言ってて、私はそういう風に言ってくれる葵のことを尊敬した。



私は聞いた時“罪悪感”しかなかったのに、お母さんと改めて話してやっと自分の命の大切さが分かったのに。



葵は1人の男としても凄いし、1人の人間としても凄いと思う。



初めて話したことなのに、すぐに1番欲しかった言葉をくれた葵は、いつかきっといいお父さんになると思う。



ていうか、なれる。



「つーか、そもそもお前が生まれてこなかったら俺どうなってんだよ」



自分が本当に産まれてきてよかったのか悩んだ時期があったことを葵に話したとき、葵はそう答えた。



「……どうなってる……って?」


「お前がいなきゃ、一生独り身だろうが」


「……っ」


「俺を生涯孤独にするつもりかよ」



ううん。

欲しかった言葉をくれるんじゃない。



欲しかった以上の言葉を、葵は必ずくれる。



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