勝手に体が動くことなんて現実には無いことだと思ってたけど、



この時の私は本当に、勝手に体が動いてて、部屋のドアノブに手をかけて回していた。



部屋から廊下に出ると意識が戻り、ドアを閉めた瞬間に部屋の騒がしさが消えた。



廊下には部屋で騒いでる声は一切聞こえてこなくて、本当にひとりぼっちな気になった。



葵に黙って出ていくのは悪いことだと思うけど、ひとりぼっちさを味わうより全然いい。



同じ部屋にいる葵は、ひとりぼっちの私を助けようとはしてくれなかった。



せめて近くにいてほしかった。



周りと一緒に騒いだり盛り上がったりしてもいいから、私の近くに座っていてほしかった。



話してくれなくてもいいから、周りと仲良くさせてくれなくてもいいから



葵のそばにいたかった。



出そうになる涙を必死にこらえた。



慎悟くんの家を出ると、慎悟くんちの車庫と思われる場所に葵のバイクが止まってた。



バイクで来たっていうことは、葵んちからかなり遠いのかもしれない。



それでも私は進まなきゃいけないからと思い、知らない道を進んだ。



歩いてる時、もしかしたら葵が追いかけてきてくれるかもしれないと期待した。



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