GOLD BOY〜不良彼氏〜




「ぎゃぁあぁっ!」



叫ぶなと、驚くなと、騒ぐなと、動くなと言われたばかりの私なのに

すぐに、その目の前の虫を見た瞬間に全てをしてしまった。



叫び、そのエメラルド色の物体を視界に入れてからの驚きで、勢い良く後ろにひっくり返った。



そしてベットから頭から落ちて、見事にゴンッと大きな音をたてて床に頭をぶつけた。



…〜っ!



声にならない痛みが、頭から全身に伝わってきて、

逆さまだから、おでこにかかるように涙だけが出てきた。



「だから最初に言ったじゃん」



膝から下はベットに乗っかったままで、後は逆さまのみっともない姿をしてる私。



その私に呆れた声を出す葵。



「ほら、もういねぇから安心しろ」



ベットに座る葵が私の両腕を引っ張って、逆さまの私をベットに再び座らせてくれた。



逆さまになった私の髪が、貞子のようにボサボサになってしまったのが、部屋の端に立て掛けられてる鏡に写ってた。



急いで手で整えた。



あの鏡便利だなぁ。

葵も毎朝あの鏡で髪型とか整えてんのかな。

あたしも欲しいなぁ。



―…ってちょっと待てよ?



「葵って、あんな大きい鏡使うときあんの?」



葵の手にカナブンが無くなってるのを確認してから、葵と向かい合うように座り直した。



.