嘘とワンダーランド

「何だよ、幽霊を見た訳じゃあるまいに」

課長がやれやれと言うように息を吐きながら言った。

目の前で仁王立ちをしている彼の格好はパジャマではなく、シャツにズボンである。

首のところにかかっているネクタイを見ると、朝の支度をしていた真っただ中だったらしい。

そこへわたしが帰ってきたと言う訳か…。

「きょ、今日はお早いんですね…」

呟くように、わたしは言った。

「早い?

どう言う意味だよ」

課長が訳がわからないと言うように言い返してきた。

「いや、その…」

と言うか、何で課長が玄関にいるんですか?

この時間ならてっきり寝ているかと思いました。

課長は平日は7時に起きるのである。

「お前、昨日どこをほっつき歩いてたんだよ?

実家に電話しても帰っていないって言われるし」

そう聞いてきた課長に、
「えっ?」

わたしは聞き返した。