嘘とワンダーランド

「えーっと…」

戸惑っている京やんに、
「嬉しくないのか?」

課長が眼鏡越しでにらみつけながら聞いてきた。

わわっ、にらまれてるよ…。

京やん、かわいそうに…。

そう思っていたら、
「えっと、ありがとうございます…」

呟くような声で京やんが言って、躰を2つ折りにした。

「今月の終わりにプレゼンがあるから、来週までに資料をまとめて提出するように」

そう言った課長に、
「はい、わかりました。

精いっぱい、頑張らせていただきます」

京やんは首を縦に振ってうなずいた。

悪い方の話…むしろ、いい方の話であったことにわたしは深く息を吐いた。

我ながらしつこいようだけど、クリームあんみつの件じゃなくてよかった…。