嘘とワンダーランド

最後の時まで、課長と千沙さんは笑顔だった。

「じゃ、またね」

そう言って手をあげた千沙さんに、
「ああ、またな」

課長が手を振り返した。

「奥さんによろしくって言っておいてね」

笑顔でそう言うと、千沙さんは店を後にした。

奥さんによろしくだなんて…本当にいい人だと思いながら、わたしは彼女の後ろ姿を見送った。

千沙さんの姿が見えなくなると、課長がわたしたちのところへやってきた。

「お疲れ様でした」

わたしはやってきた課長に声をかけた。

「ん」

課長は返事をすると、息を吐いた。

その顔はどこか満足そうだった。

「やっと肩の荷が下りたって感じだな」

そう言った後、課長はワインを口に含んだ。