嘘とワンダーランド

「もしも、だけど…」

千沙さんはそこで話を区切ると、
「もしも私が正文に向かって泣きわめいたら、正文は奥さんと離婚してくれるの?」
と、聞いてきた。

「えっ…?」

課長は訳がわからないと言う顔をした。

「ほら見ろ」

京やんが呟いた。

わたしは、千沙さんが言った言葉の意味がよくわからなかった。

離婚って、そんな…。

黙ってことの成り行きを見守っていたら、
「ジョーダンだよ!」

千沙さんはプッと吹き出したかと思ったら、バシンと課長の背中をたたいた。

たたかれた背中を、課長は手でさすった。

「そんなことしてまで、奥さんから正文を奪おうなんて思ってないから」

千沙さんはゲラゲラと声を出して笑った。