嘘とワンダーランド

千沙さんの姿を見た瞬間、課長が手をあげた。

その手を千沙さんは振り返すと、
「久しぶりー」

課長のところへ歩み寄った。

「久しぶり」

課長は言い返すと、ワインを口に含んだ。

「元気だったか?」

そう聞いた課長に、
「仕事は忙しいけど、元気にやってるよ」

千沙さんは笑いながら答えた。

「正文こそ、元気だった?

新婚生活は順調?」

続けて聞いてきた千沙さんに、
「おかげ様で。

最近、妻と話しあったんだ」

課長は答えた。

“妻”と言うその単語に、わたしの心臓がドキッと鳴った。

課長がわたしのことを“妻”と認めてくれたんだと言うことを改めて気づかされた。

嬉しくて仕方がなかった。