嘘とワンダーランド

「お前さ…」

課長が言った。

この状況で、これから何を言うのだろうか?

「お前、旦那が見ている前で浮気しようとしてるんじゃねーぞ」

そう言った課長に腕の中から見あげると、眼鏡越しの瞳と目があった。

「う、浮気、ですか?」

訳がわからなくて聞き返したわたしに、
「京極と一緒にいるんじゃねーって言う意味だよ」

課長が言った。

「きょ、京やんは友達です。

それに、いつも一緒にいるじゃないですか」

「それが嫌だって、俺は言ってるんだよ」

眼鏡越しの瞳がわたしを見つめた。

一緒にいるだけなのに、それを浮気だと言われる意味が全くわからない。

わたしと京やんが仲がいいと言うのは、今に始まったことじゃないと思うんだけど。

「仕事とはいえ、お前が俺以外の男と一緒にいるのがムカつくんだよ」