絶対主従関係。-俺様なアイツ-

「…と────」

「愛子、はっけーん!」


 せっかく言い出した小町の後ろから、ひょっこり顔を出したのは、買出し組のクラスメート。


「……」

 さすがのあたしも、ぽかんと口を開けたまま何もいえなくなってしまった。

あたしを呼んだ女の子は忙しくあたしの腕をつかみ、荷物を持って引っ張り出す。


「小町ー、愛子借りるわよ!」

 有無を言わせないその台詞に苦笑いで手をふる小町。


「…ああ、構わないよ」

 まったく、どこまで優しい奴なんだろう?

周りが一番見えているのは、多分小町だ。


引っ張るクラスメートも、悪くはないんだけれどね。


「ごめん小町、行ってくるね!」



 教室の反対側では設計班と買出し組が打ち合わせ。

今のところ大体予定通りに進んでおり、ノリのいいこのB組の優勝もきっと夢ではないはずだ。


 生き生きとする教室内に、さっきまでいたあの一角だけ静かだった。

ふと振り向くと、そよ風に身を預けて窓の向こうをじっと見つめる小町の姿。


 一体、どうしたんだろう?

いつも気にかけてもらってばかりで、なんとなく友達としてはいたたまれなかった。


もう少し落ち着いたら、小町の話を聞こう。

とにかく、目の前の文化祭で一位を獲ってからだ。


 資料をかき集め、あたしはかばんを方に引っ掛け勢いよく教室を出る。


「委員会いってきまーす!」

 教室内から、いってらっしゃーい!と大きな声で見送られ、気合も入る。

どうか委員会が長引かないように、と、いろんな意味で祈った瞬間だった。