絶対主従関係。-俺様なアイツ-

「ええっ?な、なんにも…ない、よ?」


 そう、ただ忙しい毎日に余裕がないのは確かだ。

語尾が弱くなってしまったのは、やっぱり弱気になっているからなのかな。


 そんな様子も小町は気づいているのか、引き下がらずにぐるりと回りこんでくる。

心配げな瞳に、あたしの驚いた顔が映った。


「だって、顔色悪いし…」

「…ぜ、ぜーんぜん平気だってー!少し疲れてるだけだよ」


 誰かが自分のことをわかってくれている。

ただそれだけで、救われることもあるんだよね。


 満面の笑みで小町を押し返し、ぐいっとミルクティーを飲み込む。

じんわりと甘みがしみて、心の活力にもなるようだ。


 どうにか無理やり納得したのか、押し黙った小町。

ほんの少し寂しげに見えたけど……こればっかりは、小町に言ったって仕方ないことだ。



 この、勝負のことは。


 吹っかけてきたのは、ミカドからだ。

あの時、部屋にお願いをしにいったのに、認めてくれなくて。


どうにか食い下がったら、アイツは言ったのだ。


「勝負に勝ったら、な?」

 と。

黒く鋭い瞳を魅惑手に細めると、あたしの前で勝ち誇ったように笑っていた。


「勝、負……?」

 聞き返したあたしに、口端を吊り上げるミカド。


「文化祭の最終日に発表される投票で一位を獲ったほうが勝ちだ」


「…は?意味わかんないんだけど……」


 文化祭の準備のために、今、時間がほしいわけで。

終わったあとに意味がない。