「今こそ、2-Bの底力を見せるわよぉぉっ!」

「おぉぉーっ!!」


 喉がはちきれそうなあたしに合わせて、みんなは応えてくれた。


「貧乏のB組とは言わせないぞぉぉっ!!」

「おぉぉーっ!!」


 俄然、テンションはあがる一方。

すうっと息を吸って、両サイドのクラスメイトの肩に回す腕の力をこめ、もう一度思い切り叫んだ。


「あたしたちはぁー……っ」

「商人(あきんど)ぉぉーっ!!」


 円陣を組んでいた我がクラスの叫びとともに、『祭り』は幕をきった。




 ────そもそもこれは、一月ほど前に遡る。


「愛子さん、また遅刻!」

「………すみません…」


 主任の声が、広く長く続く廊下に鳴り響いていた。

帰宅が遅くなってしまったことに、相変わらず主任に怒られていたときのこと。


 しゅんと肩を落としていると、ため息とともにたしなめられる。


「まったく、帝さまの専属でしょう?」

 それはアイツが勝手に決めたことだけどね。

「口答えしないのっ」

 その声にピッと背筋を伸ばす。


 やっぱり主任は心が読める妖怪に違いない。

そんな思惑とともに、あたしは言い訳をしようとしていたときだ。


「どうかしましたか?」


 聞きなれた静かな声が背中に降って来た。