皇さまと紅葉さんのことをバラそうとするのなら、たとえアンタでも許さない。

そんな想いもこめていた。


 しかし、アイツは不敵な笑みを緩めず、全てのモノを虜にしてしまうような視線であたしを見つめる。


 ドキドキ、と、不覚にも心臓が反応して、あたしは悔しくなった。

ゆっくりと柔らかかった唇が開く。


「お前、俺の専属だから」



 ─────は…?


 ぽかんと口が開いてしまった。

それはきっとあたしだけではなく、すこし後ろにいる紅葉さんもきっとそう。



「辞めないんだろう?」


 その言葉で、あたしは思い出す。


眠ったと思ったアイツに呟いた、あたし自身。


 こンの、タヌキぃぃ……っ!


怒りも悔しさも抑えきれず、口を開いていた。


「ええ、そうよ。絶対に辞めないんだから……っ!」


 あたしの啖呵も気にするそぶりもなく、意地悪そうに笑うこのオトコ。


「ふーん、上等じゃん?」



 あたしとミカドには感傷なんてするヒマなんてなく。


壮絶な『主従関係』が成立してしまったのだった───



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