絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 なんなのよ。 一体、なんなのよ。

考えれば考えるほど、腹が立ってくる。


「愛子、おかえり。でもどうしたの、あの藤堂……」

 ニコやかに迎えてくれる小町に、普段なら癒されるのだけど。

あたしはフツフツと怒りがこみ上げてきて仕方ない。


「……あ、いこ?」

 小町は引きつった表情で、恐る恐る顔を覗き込んでくる。

あたしとしては微笑み返したつもりなのだけど。


「顔、怖い……」

 苦笑いの小町を、無意味に睨んでしまった。

だからさっきまで興味津々の女の子たちも、なぜかさっと道を作ってくれたのかもしれない。


 アイツのせいで、この教室まで壊されてたまるか!

顔をべしべしと両手で叩き、怒りをなんとか振り切る。


「小町、あたし決めた…」

「え?」


 きょとんと見上げる小町にかまわず、あたしは肩を震わせる。

それは哀しいとか、怒りとではない。


 武者震いだ!


「絶対、この仕事辞めない!」


 お父さんと離れて寂しいけれど、厳しく見守ってくれる主任や紅葉さんもいる。

素敵な……皇さまだって。


このたまりにたまった屈辱を返せるのは、『使用人』というチャンス以外に道はない。



 そう、それこそがアイツへの精一杯の復讐になるのだ。