絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 きょとんと見つめる姿は、あたしにとって弟みたいなカワイさ。

にかっとヒマワリみたく笑う小町は、まさに癒し系だ。


「小町ーっ」

 抱きつくまではいかないけど、駆け寄ると小町は開いていた教科書類を全て閉じる。


「どうした?」

「実はさぁ……」


 もうこれは、小町に全て言うしかない。

そして、愚痴を聞いてもらうことで、あたしはまた頑張れそうな気がしたんだ。

 折角勇気を振り絞って口を開いたというのに。


「おい、パッツン女」


 背後で魅惑の声がした。

教室内は人も増えてきたおかげで賑やかになっていた。

しかし、今だけはそれまでと違い、次第に黄色い声が混じっていく。


 ホントにアイツは、あたしを嫌なほうへと振り回すのがスキみたいだ。

恐る恐る振り向けば、当然アイツがいるわけで。


「お前だよ、お前」

 だるそうに扉に肘から寄りかかり、それはまさに雑誌の切抜きだ。


「ちょ、ちょっと!何しに……っ!」

 周囲からはアイツとあたしの視線が行ったり来たり。

さすがに恥ずかしくて、思わずアイツの背中を押して廊下へ出る。


 あたしがいなくなった部屋の中からは「なんで?」「どうして、帝さまが涼原さんと?」など、しっかり耳に届く疑問が飛び交う。


後で質問攻めになることを覚悟して、目の前の顔だけはいいオトコを見据える。


「で、なんの用!?」

 キッと睨みあげると、さっきのことも気にしてないようにミカドは視線を返してくる。


「勘違いしないほうがいいと思って」