絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 身体をくの字に曲げてお腹を抱える、皇さま。

ひいひい言いながら、目じりに涙をためている。


「こ、皇さま……?」

 やんわりと笑う彼の印象が、すっかりなじんでしまったあたしには、それまた新鮮な光景ではあるのだけど。


 あたしの驚いた顔に気づいたのか、何回か深呼吸をして向き直る。


「いやぁ、久々に帝がそんなに話しているのをみたからね。なんかおかしくって」

 長い指で目じりを拭いながら、アイツに笑いかける。

そんな姿は、やっぱりお兄さんなんだなって思う。


 皇さまの優しい気遣いも、アイツにしてみたらお節介なわけで。

「……うっせぇ」

 すぐに不機嫌そうに戻り、頬杖をついてそっぽを向いてしまった。

あたしはなんて答えていいかわからなくて。


「は、はあ……」

 と、曖昧に納得してみた。



「仲が良くてよかったよ」

 静かになりそうな空気を破ったのは、もちろん皇さま。


「どこがだよ!」
「どこがですか!」

 不覚にも、アイツと声がそろってしまった。


 真似しないでよね!

とにらみを利かせていると、


「あはははっ」

 ほら、やっぱり、と再び笑い出す皇さま。

アイツは更におもしろくなさそうに窓の外を眺めてしまうだけで。