絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 っていうかさ。

チラリと隣を見やれば、すっと通った鼻筋と長い睫が日差しを浴びてキラキラしてた。


「……くぅ…」

 スヤスヤと気持ちよさそうに、再び眠るキレイなオトコ。


 なんでアイツまでいるわけ!?

あたしのそんな不満が彼にも伝わってしまったのか、向い側に座る彼は、あたしの隣のコイツの膝を軽く叩く。


「帝、女の子が一緒なんだから起きなって」

「んん……」

 彼の……皇さまの声に反応してうっすら開けた瞳。

気だるそうな声もすこし掠れていて、鼓膜だけで妊娠してしまいそうだ。


 む、ムダに色気なんて出してんじゃないわよ!

冷や汗を感じながら、やけに緊張する左半身。


アイツはぼーっとしながら、ゆっくり顔を向けてくる。


 艶やかな前髪が、首をかしげるとさらりと誘発的に流れた。

そんなミカドとぱっちり目が合ってしまったあたし。


「お、おはよ……」

 こんな間近で話すのは、初日に襲われた以来だ。

数秒経つと、アイツは悩ましげな唇を割る。



「───誰だっけ?」



 カチンッ。

脳内でナニカがキレそうだったけれど、一瞬早く理性がつなぎとめる、


 いやいや、落ち着け、愛子。 相手は寝ぼけ王子だ。


コホンと咳払いをして、引きつった笑顔で嫌味ったらしく声を大きくした。