絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 それは、記憶の中のアイツなのか。

それとも、悔しさからかあたしの口から零れてしまったのか。


 もう一度、あたしはそれを耳にすることになってしまった。



「勉強や金がなんだってんだ」



 頭の中と鼓膜を伝わる音が、輪唱する。


 あたしの中の夢と、現実と。

全てを持っているアイツに、悔しくて仕方なくて……。



「愛子?」

 心配げに覗き込んできた小町の声に、あたしは我に返る。

けれど、まるで体中の血が頭に集まってしまっているかのごとく、熱くなってしまった顔は見せれなくて。


ほんの少し、霞んでしまった視界を誤魔化すように。



笑って見せた。



「……ごめん、小町。忘れ物しちゃった」

「愛子……っ」


 くるりと踵を返して、広く長い廊下を戻る。


 小町に、見られたかな?

でも、まだ口に出せるほど、ココロに余裕がなかった。



 本当に悔しい。

アイツはなんにも変わってなくて。

そんなやつに従わなければならなくて。