絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 教室に戻れば、そこは今まで育ってきた教室内となんら変わらない。

クラス別けも、これまた家柄や所得の差に応じるらしく、劣等感とか格差を感じずにすごせることはすこし気分が楽だ。


まあ、差が少ないというだけで、もちろん裕福な家庭もある。


「愛子、次は移動教室だよ」

 くるりと振り返って、あたしの分の教科書を手渡してきた赤みを交えた茶髪少年。

子犬みたいなカワイイ顔立ちの彼は、同志。


「ありがと、小町」


 さほど背も高くはないコイツとは、この高校で出会った。

しかしこの原 小町によって、あたしの偏見は少しでも和らいだのも確か。


 あたしみたいな『金持ち=大嫌い』という方程式なんか、小町の頭にはなかった。

決して、小町だって裕福なわけではないと聞いたけれど……それでも人懐っこい性格は、財産だと思う。

それこそこの学校の校風でもある貧富の差なんて感じさせず、誰かれかまわず話をかけて好かれて行く。

ある種、才能だと思う。


「また短期でもやるのかよ?」

 あたしの手に持っていた書類を盗み見した小町は、ほんの少し背をかがめて覗き込んでくる。


 お互い見慣れた書類。

けれど、あたしはどっと疲労が襲ったように大きくため息をついた。



「それがさぁ……」


 ああ、思い出したくないな。

なんて思った矢先だった。


「帝っ」