そそくさとティーカップをサイドテーブルに置き、ぺこりと腰を折る。
「し、しし、失礼……っ」
頭に乗っかるお団子ヘアも一緒にお辞儀をしたというのに。
ほとんど言葉を発するのと同時に、逃げるように身体は回れ右をしていた。
しかし、一瞬早く、あたしの手首が引っ張られ、ぐりんと天井を向いたまま背中から落ちていく。
「きゃぁっ!」
痛みを覚悟して目を瞑る。
幸いなことに、ぼすん、と倒れこんだのは、これまた肌触りのよい布団。
怪我はなかったものの、まだコレで終わりじゃなかった。
太い腕があたしの肩をぐっと寄せ、端正な顔はすぐ隣に。
「…………っ!!」
ドッキンドッキンと激しい鼓動のあまり、あたしは声すら出せなくて。
「あ、あ、愛子さんっ!?」
終始を見ていた紅葉さんがぱたぱたと駆け寄ってくれていたのは、微かに見えた。
けれど、一気に意識が耳もとに持っていかれる。
掠れたハスキーなアイツの声。
鼓膜をやんわりと刺激するように、もう一つ、呟いた。
「…ど…う、して……」
切なげな震える声。
────『どうして』?
「愛子さん、大丈夫!?」
逞しい腕を解くように紅葉さんが丁寧にあたしを引っ張ってくれた。
「し、しし、失礼……っ」
頭に乗っかるお団子ヘアも一緒にお辞儀をしたというのに。
ほとんど言葉を発するのと同時に、逃げるように身体は回れ右をしていた。
しかし、一瞬早く、あたしの手首が引っ張られ、ぐりんと天井を向いたまま背中から落ちていく。
「きゃぁっ!」
痛みを覚悟して目を瞑る。
幸いなことに、ぼすん、と倒れこんだのは、これまた肌触りのよい布団。
怪我はなかったものの、まだコレで終わりじゃなかった。
太い腕があたしの肩をぐっと寄せ、端正な顔はすぐ隣に。
「…………っ!!」
ドッキンドッキンと激しい鼓動のあまり、あたしは声すら出せなくて。
「あ、あ、愛子さんっ!?」
終始を見ていた紅葉さんがぱたぱたと駆け寄ってくれていたのは、微かに見えた。
けれど、一気に意識が耳もとに持っていかれる。
掠れたハスキーなアイツの声。
鼓膜をやんわりと刺激するように、もう一つ、呟いた。
「…ど…う、して……」
切なげな震える声。
────『どうして』?
「愛子さん、大丈夫!?」
逞しい腕を解くように紅葉さんが丁寧にあたしを引っ張ってくれた。


