絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 人当たりって言うのは、コミュニケーションの中でも大切だとは思う。

けれど、その様子はあからさますぎて、違和感を覚えずに入られなくて。


 仮にもわたしたちは、その藤堂家に仕えている身のはず。


 紅葉さんを見上げたら、何かに焦っていた。


「あ…愛子さんっ!」

 焦っていてもカワイらしい紅葉さんの焦った顔。

何も気づかずきょとんと見つめていたら、ポカリと自慢のお団子頭を叩かれた。


「あーいーこーさんっ!?昨日も言いましたよねぇ!?」

 鬼にも返信しそうな主任が、すぐそこにいた。


「…えっ!?あ、す、すみませんっ!!」


 ───しまった!!

そうだった、このお屋敷では『ミカドさま』なのだ。


 けれど……


「…だって、あまりにも───」

「口応えしないっ」


 カッと見開いた目からは光線が出てもおかしくないと思った。

触らぬ神に祟りなし、と肝に銘じ、口をきゅっと結んだ。


「いいこと?いくらあなたが帝さまと同級生とはいえ、ここはあなたのご主人様の邸宅ですよ!?」


 ……はい、おっしゃるとおりで。

ここを追い出されたら、あたしに未来はないのだ。