絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 ドスンと倒れこんだのは、幸が不幸かベッドの上。

この乱闘のせいでいつの間にかベッドまで移動していたみたい。


 背中を打ち付けることはなかったが、最悪な状況であるには違いない。


 お母さん、お父さん…!!どうか愛子をお守りください!!


 ジワリと目頭が熱くなる。

両親への祈りが通じたのか、ピタリと男の動きが止まりかすかな息遣いとともに声が降ってくる。


「…はぁ、はぁ……あれ?お前、さっきの…」


 …――さっき?

 恐る恐る目を開くと、涙でぼんやりとした向こうには長い前髪を真ん中で別けてサラリと視線とともに見下ろしてくる。


 さっき門の前で馬鹿にしてきた……


「藤堂…帝……」

 そう、アイツがいたんだ。


「なんでこんなところにいるんだよ」


 驚いていたくせに、急に突き刺すように睨んでくる。

けれどあたしだとわかっても、押し付けられた手首は離してはくれなかった。


「あ、あたしは……っ!」

 言いかけて気づいた。

あたしの意思とは関係なく、ボロボロと涙が頬を伝う。


「ちょっと、泣くなよ…」


 呆れたようにため息をついてきて、どこかそれすらも甘い気がした。

しかしそんなあたしの不安の横で、ガシャン!と何かが割れるような音が響く。