絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 ポン、と肩を叩いてきたのは、癒しの小町。

けれど、あたしの右腕である小町が抜けるのは、我がクラスの大打撃だ。

「……え?」

「もしかして、忘れたの?」

 聞き返してしまったあたしに、責めるというよりは呆れたような口調で肩をすくめてきた。


「有志のバンドで頼まれてるっていったじゃん!今日の午後からだから、もう準備にいかないと……」


 ちらりと小町は、腕にはめられた時計を確認している。


 ……そうだった…。

親友の予定をすっかり忘れていたなんて、あたしも相当追い込まれていたのだろうか。


いやいや、それにしたってあたしはヒドイヤツだわ…。


 自己嫌悪に陥りそうになるのを、小町がひきとめてくれる。


「もし店が落ち着きそうだったら、講堂まで観に来てよ」

 あまりにもあっけらかんというもんだから、あたしはお言葉に甘えて、うん、と思い切りうなずいた。


 講堂では、吹奏楽部や軽音楽部、コーラス部などの部活の発表の場でもある。

さらに、事前に申請しておけば、小町たちのように有志で舞台に立つことができるのだ。


 確か、小町は昔近所のお兄さんにギターを教わっていたって言っていた。

まだその姿は見たことはないけれど、あんな小器用な小町のことだから、期待せずにはいられない。

音楽には無知なあたしでも、ワクワクしてしまう。


 どうにかアテを作るためにも頑張らないと!


「いらっしゃいませー!!」


 そんな小町がいない書きいれ時とも言える、勝負の昼。

この校内じゃ異色の目立つはっぴをきて、テント前ではあたしを先頭に呼び込み。



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