絶対主従関係。-俺様なアイツ-

 そうして、ミカドからの挑発的な視線と、禅くんからの敵対視をうけながら月日は流れ。


負けるわけには行かなくなった勝負に意気込んで、まだ教職員もごく僅かな校内に、一人たたずんでいた。



 教室棟を抜けたエントランスの向こうにある、他の学校の校庭一つ分は裕にある中庭。

その中の一番校舎側にある白いテントが我がクラスの領地。


「なんとか予算内にできたし、あとは売り上げさえ伸ばせればこっちのモンね!」


 予算は、生徒会から支給される補助金と、生徒たちが己の懐を切って出す出資金。

そして、昨年のクラス順位に応じた賞金の三つからなる。


基本的に財力や家柄は変わらないから、ほとんどクラス替えなんて行われない。


別に禁じているわけではない。

けれど、今まで増減はなかったし、突然大金持ちが我がBクラスに来られてもこっちが困るしね。


だから、賞金は引き継げるってわけ。



 我がクラスは、昨年の順位は学年では資金不足にしてはなかなかイイセンをいったけれど、ダントツはもちろんミカドのクラス。

資金力は抜群のクラスを、あたしは相手にしているのだ。



「見てなさいよ、ミカド!!」

 しかしこんな金持ちばかりの学校だからこそ、庶民の底力が活きるってもんだ。

拳が打ち震えた。



 やがてクラスメートたちも集りだし、衣装担当からもようやく戦闘服を配布された。

青色をベースとして、襟元はくっきりと黒に白地で『あきんど』と。

そして、背中にはでだでかと『祭』の文字。


 庶民としては、雰囲気バッチリの特製ハッピ。

開会式を目の前に円陣を組み、中心にしたあたしは大きく息を吸って思い切り叫んだ。


「行くわよーっ!」


 本番は、もう間もなく。

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