絶対主従関係。-俺様なアイツ-

「ちょ、ちょっと、禅くん…!」

 確かに、このお屋敷と長いお付き合いがあるのかもしれない。

けど、年上を敬うキモチは忘れてはいけないはずだ。


「なに、愛子ちゃん?」

 きょとんとする禅くんに、きっと睨みあげる。


「晴海さんになんて口きいてるの?もう少し考えて───」

 モノをいいなさいよ!


 と、言いたかった。


けれど、それよりも早く禅くんは晴海さんの腕を取り、にっと口端を吊り上げる。



「この人、僕のじーちゃんだから」




 ……え…


「えええぇぇっ!?」


晴海さんが禅くんのお祖父さん!?

思わず声を張り上げてしまい、事態を飲み込むのに必死だった。


「なんだよ、うるせぇな」


 固まったあたしに追い討ちをかけるように、面倒くさそうにやってきたのはミカド。

集っていた従業員も、それを機にそろそろと仕事へ戻っていく。

おかげで、よりアイツの声が玄関ホールに響いた。


 ゆっくり振り向けば、ただのTシャツにジーンズという姿なのに完璧に着こなしたミカドに、禅くんはニッコリ笑っていた。

このツーショット……そりゃ、女の子たちが騒ぐのも仕方ないかもしれない。


なんて、こっそり思ってしまった。


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