帰りになって結構時間が経ったからか、廊下も人通りが少ない。
私は、ゆっくりと歩きながら下駄箱に向かった。
少し蒸し暑くなってきた最近。
ジメジメした熱気が体にまとわりつく。
バッグの持ち手を意味もなくギュッと握ってはゆるめた。
「そーいえば……」
ふと、思い出す彼の顔。
名前も学年も聞けないまま、立ち去ってしまったイケメンの彼。
結局、誰だったか。
日和に聞こうと思ってたけどすっかり忘れてて。
知らないまま、だ。
「見覚えのある顔なんだけどなー」
そう呟いて、角を左に曲がろうとした時。
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