名前も顔も思い出したくないけど。 今は、正面で怒鳴ってやりたい気分だ。 モワワン、と頭の中で一人の顔を思い浮かべる。 奴、祐希の顔を。 「あーもー!腹立つー!」 いつの間にか教室には私以外誰もいなくて。 叫び放題だった。 私は、机の上にあるバッグを手に取りハアとため息をついた。 「日和も帰っちゃっしなー」 サラッと長い黒髪を揺らす。 どうやら日和は今日、家の用事があるらしい。 それなら、仕方ないんだけどね。 少し、寂しいかな。 なんて。 「帰ろう……」 ポツリ。呟いて、教室を出る。