「それで、今日は何を?」
高山の視線を流す様に、俺は草壁さんの方に視線をやった。
「今日も先日お伺いした、連続耳切り魔の件についてです。
まだ殆ど情報も無くて……」
「私からお話ししましょう」
草壁さんが話しをしている途中で、高山が口を挟んだ。
「今回の事件の犯人は、間違いなく愉快犯や通り魔などではなく、目的があって犯行を重ねていると思われます。
おそらく、耳に執着している者…
例えばピアスをした耳に激しい執着があり、ピアスをしている耳を切り取っている。
又は、耳を持ち帰り、自分でピアスを着けてそれを楽しんでいるか…
だと思われます。
それでこうして、貴金属を扱う店に情報の提供を求めているのです」
危険だ――
「私は通り魔だと思うんですけどね。容疑者が、貴金属の収集が趣味だという事で情報提供を――…」
この刑事は危険過ぎる。
俺には、犯人が何を求めて犯行を繰り返しているのかが分かるし、その心情も理解出来る…
それは、まさにこの刑事が今説明した通りだろう。
.



