身を屈めスッと手を伸ばし、そのビニール袋を取り上げ、中を覗き込んだ。


「弁当?」

ビニール袋の中には、豚カツ弁当とペットボトルのお茶が入っていた。


多分、百合が俺の不在中に店に来たのだろう…

そういえば、ここ暫く会った事がない。


弁当とお茶を取り出すと、中にメモ帳を破いたであろう紙切れが1枚、ビニール袋の側面にくっついている事に気付いた。

俺はその紙切れを人差し指と親指でつまみ出すと、百合が書いたであろう書き置きに目を通した。


>また今日もいないなんて!!
しかも携帯の電源入れてないって、一体どういう事なのよ!!

もうっ
弁当は1人で食べてよね!!


やはり百合だ。

途中で携帯電話が鳴るといけないから、店に置いて行ったんだった。ここは地下だから、電波も届かないからなあ。


だが、今日も?
いつも店にいる筈なんだが…



気にしても仕方ないので、俺は百合の買ってきた弁当を食べる事にした。


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