しかし、指と違い手首で切断するとなれば、道具もノミという訳にいかない…
俺は背もたれに体重をかけて深々と沈み込むと、目を閉じてその場面を想像した。
やはり、ノコギリを使う訳にはいかない。断面が歪になる事もあるが、時間がかかり過ぎる。
もっと短時間で、手首の骨すらものともせず切断出来る道具――
オノ…
オノを思い切り振り下ろせば、垂直にスッパリと切断出来るかも知れない。
オノだな。
容易に手に入るし、購入したからといって疑われる心配もない。
「フフッ」
手首から切断か…
なぜ最初に思い付かなかったのだろう?
本当なら、ここに左手が2つ並んでいた筈なのに。
いつまでも返り血を浴びたシャツを着ている訳にもいかず、俺は着替える為に両足で反動をつけて立ち上がった。
シャツのボタンを外そうと下を向いた時、ついさっき放り投げたビニール袋が目の端に映った…
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