来た――!!
塾の玄関から、あの女子高生が出て来る様子が俺の目に映った。
女子高生の周りに、他の学生の姿は見えない。邪魔者はいない最高のシュチュエーションだ。
この路地までの距離は、約70メートル。
あの歩調だと、あと20秒余りでこの前を通過する筈だ。
そう思うと鼓動が徐々に速くなり、額に汗が吹き出してきた。
だが、これは緊張からくるものではなく、歓喜に細胞が躍動しているのだ。
その証拠に、無意識に口元が緩み、腕に鳥肌が立っている!!
通行人を確認するが、まるで俺を祝福しているかの様に、この路地を背にしている奴等だけだ。
あと20メートル…
もう直ぐだ。
目の前を通過する瞬間が、掴まえるチャンスだ。その瞬間を逃してはならない。
あと10メートル…
あと5メートル…
足音がハッキリと聞き取れる。
来た。
女子高生の甘い香りが、俺の潜んでいる路地まで流れ込んできた――
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