一度店に帰った俺は目的の物を手にし、再び進学塾の近くに戻った。
実際に塾が何時に終わるのか分からないし、もしかしたら親が迎えに来るかもしれない。
俺はあの路地の奥に身を潜め、5分おきに身を乗り出しては進学塾を見張った…
21時20分――
路地から顔を出そうとした時、今まで静かだった通りがざわついている事に気付いた。
暗がりから少しだけ顔を出し、進学塾の方を見た…
学生服を着た塾生が、バラバラとビルから出て来ていた。外に停まっている車は数台で、駅が近いせいもあるからか、迎えに来ている家族は少なかった。
多分、自宅の最寄り駅まで帰り、そこに迎えに来ているのだろう…
この状況は、俺にとって願ってもいない状況だ。
俺は路地の暗闇の中から、誰にも見付からない様に静かに塾の玄関を見詰めた。
あの女子高生は、まだ出て来ない。
もう1つだけ願いが叶うなら、1人でこっちに向かって歩いて来て欲しい……
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